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介護大手メデカ、疑惑の債権放棄

創業者が実質経営する病院向け債権を、あのアスクレピオスに売り払った。特別背任の疑い。

2008年7月号

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アスクレピオスに売却した病院向け債権の中には、支援先病院や三裕への融資も当然含まれている。巧妙な目隠しが施されているが、メデカの会長、神成氏は自分の経営する病院に公開企業であるメデカから融資を実行し、その債権放棄によってメデカに損害を与えたことになる。いくら創業者だとはいえ、これは会社法960条で定める「取締役の特別背任罪」にあたるのではないか。

アスクレピオスとの“関係”にも不透明さが漂う。

メデカは、08年5月期に35億円の有価証券評価損を計上すると発表している。ファイティング・ブル・インベストメントが発行した社債の半分が償還されなかったためだ。ファイティング社はアスクレピオスの関連会社。リーマンのケースと同様、関係文書に丸紅の記名押印があるなど、偽造保証書事件の仕組みに酷似していたという。

ファイティング社が発行した約70億円の社債を購入したのは07年5月7日。157億円の債権売却を取締役会で決議したのは5月31日である。「ファイティング社の債権を買う理由はまったくない」とは先の関係者。しかも、社債購入については取締役会で一切、議論されていない。近すぎるタイミング。病院債権を購入した見返りではないのか。

1カ月後の6月末に起きた大株主の移動も不可解に映る。筆頭株主だった日本アジアホールディングズが「RFIJ」という企業に持ち株を売却したのだが、RFIJもアスクレピオスの関係会社である。05年8月に業務・資本提携を結んで以降、日本アジアホールディングズはメデカに対して経営改善を強く訴えていた。神成氏にとっては目の上のタンコブ。アスクレピオスの力を借りようと考えても不思議ではない。挙げ句の果て、12月には両社で業務提携を結んでいる。「疑うな」という方が無理というものだろう。

ユニマット傘下で再建

神成氏が仲間と埼玉臨床検査研究所を創業したのは1974年のこと。患者の血液や尿を分析する臨床検査を請け負ってきた。その後、1990年に店頭公開。93年には社会福祉法人「元気村」を設立している。介護保険導入前から民間企業として介護や福祉事業に力を入れてきたことは間違いない。

「お年寄りたちが豊かで安心して楽しく過ごせる長寿社会を実現するための旗振り役に、自分の人生のすべてを捧げたい」。かつて、神成氏は雑誌でこう語っていた。その思いに嘘偽りはないだろう。ただ、崇高な理念も一連の疑惑を目にすると、急速に色あせる。

アスクレピオスが破産手続きを申し立てた数日後、メデカは第三者割当増資を実施。ユニマットホールディングの傘下入りを決めた。社長の神成氏は5月20日、代表権のない会長に退き、飛島建設出身の小山康文氏(64)が社長に就任。今後はユニマット主導で再建が進められる。

07年4月、介護報酬の不正請求があったとして、東京都は介護大手のコムスン、ニチイ学館、ジャパンケアサービスの3社に業務改善を勧告した。6月に厚生労働省は最大手グッドウィル・グループ傘下のコムスンに対して、全事業所の新規指定と更新の不許可処分を決定。グッドウィルは介護事業から撤退を余儀なくされた。そして今回のメデカ。ユニマット創業者の高橋洋二氏は消費者金融出身で、渋谷・松濤のシエスパ爆発で名を轟かせた。この国にまともな介護事業者は育たないのか。

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