9年連続赤字の時事通信が電通株売却で穴埋め

2008年5月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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経営不振の続く時事通信社が08年3月期決算の赤字を穴埋めするため、「虎の子」の電通株を再び売却した。前期決算は9年連続の営業赤字見通し。昨年策定した事業計画でも11年度まで13年連続の営業赤字が見込まれ、再建のめどが立たない。にもかかわらず若林清造社長ら経営陣は、6月の役員改選を睨んだ派閥抗争に明け暮れている。

時事は今なお電通の筆頭株主だが、今回の約2万株売却で保有比率は12.
41%から10.86%に落ちた。しかも、株価が上場来安値圏という最悪のタイミングで処分している。証券会社への支払い手数料を節約しようと、相対取引を活用したため、半年前に売却時期を決めていたようだ。財務体質の悪化により時事は社債の発行ができず、銀行借り入れの上乗せ金利も拡大している模様。自力の資金調達が困難になり、含み益を吐き出さないと、決算が乗り切れない有り様だ。

電通は08年3月期に1株当たり3500円を配当する見通し。以前の時事なら、その配当収入で営業赤字を埋めてきたが、年間30億円を超える赤字を垂れ流すようになって、唯一の資産を食い潰す「綱渡り経営」に転落。電通株売却は今や期末の恒例行事となった。電通株を売り尽くせばゲームセット。無為無策の経営陣に見切りをつけた記者が次々に退社、職場のモラル低下が目立つようになった。

今回の売却益は約49億円。売却先は明らかではないが、先に電通株の大量取得を発表したリクルートと見られる。経営難の時事と手を切り、リクルートに安定株主になってほしいのが電通の本音だろう。

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