2008年1月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
福田康夫首相が外交に関する私的懇談会「外交政策勉強会」を発足させた。小泉政権時代の「対外関係タスクフォース」にならって、外部の有識者から知見を得ようというものだ。
メンバーは11人。内政より外交が得意な福田首相だけに、全員を自ら人選したと思われる。その中でも特に福田外交に影響を与えそうなのは、座長を務める五百旗頭(いおきべ)真・防衛大学校長と谷野作太郎・元中国大使の2人だ。
勉強会の初会合は12月9日だったが、首相はその2カ月前の10月7日に五百旗頭氏を食事に誘い、早くも勉強会の立ち上げと座長への就任を打診している。当時は政権発足からまだ2週間という時期であり、五百旗頭氏への信頼がいかに厚いかを示している。
両者の付き合いはそれほど古いわけではない。森政権末期の官房長官に福田氏が就任した時、佐藤栄作首相の首席秘書官だった楠田実氏(03年9月死去)が「福田官房長官を囲む会」を主宰し、五百旗頭氏は山崎正和氏や中嶋嶺雄氏らとともにそのメンバーになった。この会合の最中、楠田氏が発作で倒れるハプニングがあり、福田氏と五百旗頭氏は楠田氏を一緒に病院に運び込んだことで急接近したという。
谷野氏は福田氏とは東京学芸大付属小での同級生。野球でバッテリーを組んだ古い仲だ。五百旗頭、谷野両氏ともアジア重視、対中穏健派という点で一致しており、福田外交もこのラインで進められるのは間違いない。