日本文学研究家 サイデンステッカー 氏
皮肉の奥の素顔
2007年10月号
[ひとつの人生]
安西徹雄
新聞記事の末尾に加える肩書き流にいえば、E・G・サイデンステッカーさんは「日本文学研究家・翻訳家、コロンビア大学名誉教授」ということになるのだろう。確かに、日本人が先生の名を特に深く記憶しているのは、川端康成のノーベル文学賞受賞が、もっぱら先生の名訳の力によるものだったこと、それに『源氏物語』の英訳として、すでにアーサー・ウェイリー訳が、古典的名訳という声価を確立したにもかかわらず、必ずしも原作に忠実でないことを不満とし、あえて新訳を発表するという、大胆な企てを実現されたということだろう。それ ………