2007年10月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
三洋電機の子会社、三洋半導体の売却価格が当初の最大2千億円から半値程度に下振れしそうだ。業績の悪化に加え、米サブプライムローンの焦げつきに端を発した信用収縮でリスクマネーの供給が細り、外資系ファンドが買収額を大幅に引き下げているためだ。
4月の1次入札では、入札を仕切った米ゴールドマン・サックスと大和証券SMBCが参加者を幅広く募り、「競争心理が働いて提示額が実力以上に吊り上がった」(投資銀行)ため、2千億円から1500億円の間に札が入った。しかし、半導体市況の低迷で4~6月期の業績が営業赤字に転落。信用収縮に加え、7月の新潟県中越沖地震で主力の新潟工場が被災し、3年間に2度も大地震に見舞われた立地リスクも査定の減額要因となった。
三洋半導体の製造ラインは老朽化しており、買収後に設備を更新する必要があるため、「企業価値は300億円程度」(半導体大手)とみられ、ロームなど事業会社は買収を見送った。最終入札では、国内のファンド、アドバンテッジパートナーズが1200億円程度の買収額を提示した模様で、優先交渉権を獲得しそうだ。しかし、三洋は手元に入るキャッシュが予想より減るため、携帯電話など事業の追加売却を余儀なくされることになった。