「官製」イスラム金融が尻すぼみになった理由

2007年7月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

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国際協力銀行(JBIC)が今年春に予定していたイスラム債の発行が遅れに遅れている。昨年はメガバンクを巻き込んで「イスラム金融検討会」を発足させ、経済メディアを動員してイスラム金融にコミットする意義を報じさせるなどムードの盛り上げに懸命だった。これには、他の政府系金融機関との統合を控えたJBICが、自らの立場を有利にするための世論工作の色彩が強く表れていた。

JBICは来年、国民生活金融公庫などとともに、日本政策金融公庫に統合されることになっており、5月18日の国会でその根拠法が成立した。JBICブランドの維持など、新公庫の中でJBICの権益を守るための仕掛けが条文に盛り込まれるなど、JBICの工作が報われた格好となった。

こうなるとハードルが高い割に必要性が乏しいイスラム債の発行にこだわる理由は薄れる。世界的なカネ余りのなかで、民間金融機関は最初から及び腰。かくして、「官製」のイスラム金融ブームは早くも霧消しつつある。

   

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