編集後記

2007年4月号 連載 [編集後記]

  • はてなブックマークに追加

早いもので、「FACTA」ももう12号目になる。つまり創刊から1年経ったのだ。雑誌を一からつくるのは初体験で試行錯誤の連続だったから、感慨なきにしもあらずである。しかしここまで来たのも読者の支えあればこそ。誌面を借りて心よりお礼を申し上げます。改めて初心に帰り、日本で唯一のクオリティー・マガジンをめざして精進を続けたい。▼書棚に古びた戦前の本が100冊ほどある。亡き伯父の蔵書を形見分けしてもらったのだが、紙事情が悪い時代の製本だから、黄ばんだ酸性紙はショウが抜けて、触れなば散らん薄葉と化している。背表紙は剥がれ、紙箱もボロボロで、壊れたガラス細工のようだ。それでも私の宝物で、とても手放せない。保田與重郎の『和泉式部私抄』から大熊信行の『マルクスのロビンソン物語』まで、昭和10年代の青年の懊悩がうかがえるからだ。▼わけても六藝社版の岡倉天心全集全5巻は昭 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。