<インサイド> 閉じ込めの「東芝エレベータ」/JIP馬上氏が売却協議か

2026年4月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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最高分速600mで地上から約350mの天望デッキまで約50秒で到達するという非日常体験ができる人気スポットで、2月22日に“悲劇”が起こった。東京随一の景観が望める「東京スカイツリー」で、4基のうち2基が運行中に突然停止し、エレベーターの中に乗客20人が閉じ込められた。運営会社の「東武タワースカイツリー」は「事故はエレベーターのかごに電力や信号などを送るケーブルが損傷したことが原因だった」と発表した。

閉じ込めが起きたエレベーターは東芝エレベータ製だった。スカイツリーのエレベーターは、静かで揺れのない乗り心地が売りだというが、東芝エレベータは製品だけでなく、会社自体が大きく揺れている。東芝の子会社である東芝エレベータは、国内では三菱電機や日立製作所に次ぐ大手だが、中国子会社の一部株式を中国家電大手の美的集団に売却するなど事業は選択と集中のフェーズに入っている。

東芝エレベータ株の80%を保有する東芝にとっても、今後も同社株を持ち続けるかは悩ましい選択だ。同社株約20%を保有するスウェーデンの同業、コネ社へ段階的に同社株を売却する構想も浮上している。思えば東芝エレベータの扱いは二転三転してきた。23年に日本産業パートナーズ(JIP)に買収される前には非注力事業と名指しされ、売却が模索されたが、JIP買収後に売却方針を撤回。だが、足元では「26年度、27年度の業績見合いで売却が進む可能性がある」(業界関係者)といい、完全売却も有り得るという。

一部報道によると、東芝本体は28年度に再上場を想定しているとされており、財務強化の一環として、東芝エレベータを完全売却する可能性は高まっている。鍵を握るのはJIP社長で東芝の取締役会議長を務める馬上英実氏とコネのオーナーのトップ同士の直接協議だ。

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