<インサイド> 新薬開発中止の「協和キリン」/「時価総額2600億円」吹き飛ぶ大惨事

2026年4月号 DEEP [ディープ・インサイド]

  • はてなブックマークに追加

本誌3月号で変調を来していることを指摘していた協和キリンだが、経営破綻の瀬戸際にあった「第二の住友ファーマ」(市場関係者)となりかねないことが現実味を増している。というのも、3月3日、将来、2000億円を売り上げられると喧伝していたアトピー性皮膚炎などの治療薬候補「ロカチンリマブ」の開発中止を、重篤な副作用が出るリスクがあるという安全性の問題から決め、製品化を事実上、断念すると発表したからだ。次世代を担う大型品がなくなったことに市場ではショックが走り、翌4日の同社株価は前日比500円ストップ安となる2231円。ざっと1日で時価総額2600億円が吹き飛ぶ大惨事を招いた。

協和キリンがお粗末なのは、治験でロカチンリマブの投与患者に皮膚がんの一種「カポジ肉腫」が生じたりしたことや、似たような仕組みの他社の医薬品候補が開発中止に追いやられたりしていたことへの疑念があったにも関わらず、1ヶ月前まで大して問題視していなかったことだ。安全性を評価する「2月下旬の会議の結果を受けての結論」と協和キリンは強調するが、直前まで「売上高2000億円」などバラ色の未来を振りまいていたのだから罪は重い。

ロカチンリマブがなくなったその穴をどう埋めるかが課題となるなか、4日朝の説明会でアブドゥル・マリック社長ら首脳陣は「M&A(合併・買収)などで対応する」「(2月公表の)中長期目標に変わりはない」と火消しに追われたが、十分な説得力はない。複数の証券会社がレーティングを下げたのがその証拠。立ち往生する可能性が高まってきた。

  • はてなブックマークに追加