2026年11月号 DEEP [ディープ・インサイド]

マグロの解体
東洋経済新報社の幹部人事が波紋を呼んでいる。見え隠れするのは、事実上のクーデターで天下を取った山田徹也社長ら「3人組」のなりふり構わぬ権力固めだ。
件の人事は10月1日付。西村豪太・執行役員編集局長、山田俊浩・東洋経済総編集長ら編集幹部3人がラインから外れ、まとめて論説委員に異動となった。西村、山田俊の両氏は『週刊東洋経済』編集長を2度務め、編集現場では一目置かれる存在。当然、取締役入りが有力視されていた。論説委員は定年までの上がりポストだ。
周知の通り、同社では2年前の10月に政変が勃発。山田徹、加藤正俊、廣田充彦の3取締役が田北浩章社長(当時)追い落としの役員選任案を多数派工作により押し切ってしまった。システム・総務畑の加藤、データ事業畑の廣田両氏に担がれ、編集出身の山田徹氏が新社長に納まる形だった。
じつのところ、現社長は会社の屋台骨たる『週刊東洋経済』や『会社四季報』の編集長経験がないなど実績に乏しい。それがどういうわけか駒橋憲一・前会長のお気に入りとなり、5年前からトントン拍子に出世。そんな現社長にとって同年代の西村、山田俊両氏は目障りな存在だったに違いない。
今回の人事は編集現場の弱体化を招きかねない。前述した2度の編集長起用が示す通り、社内では下の世代が思うように育っていないのが実情だ。そもそも現社長ら3人組は政変後、何ら新たな施策を打ち出していない。前社長に不祥事があったわけでもない。「クーデターは高報酬が目当てだったのでは」と訝る向きさえある。
そんな中、人気取りのためだろう、10月8日の全社懇親会で催されたのは、なんとド派手なマグロ解体ショーだった。経済ジャーナリズムの旗手にふさわしい知性や品位の欠片もないホストクラブ顔負けの破廉恥ぶり――。心有るOBはそう嘆く。