日本だけの健康被害「香害」/お墨付き与える7省庁連名「啓発ポスター」/村中璃子・医師 ジャーナリスト

2026年8月号 LIFE [MCSとは]

短い時で30分、長い時で2時間――。柔軟剤・洗剤メーカーに寄せられる「香害」のクレームの長さだ。ここで言う香害とは、強い香水などの香りで気分が悪くなるといった話ではない。柔軟剤や洗剤の合成香料に含まれる化学物質に繰り返し暴露することで少量の化学物質にも脳や神経が反応し、頭痛やめまい、呼吸困難などを発症する「化学物質過敏症(MCS)」である。典型的な苦情は「柔軟剤のせいで健康も仕事も家族も失った」「あんたたち、毒を売る会社」「潰れろ」。やがて話は柔軟剤を売るな、売らせるなという話へ向かっていく。2025年に国民生活センターに寄せられた香害の苦情は213件に上る。ところが、関係者によれば香害のクレームが上がっているのは日本だけで、香害は「日本の特殊案件」として扱われているという。

日消連の「香害110番」が嚆矢

MCSは1980年代に米国で提唱された概念で、日本でも1990年代に北里大学神経眼科 ………

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