中・立・公「合流協議」/連合産別労組「5議席」が焦点/「いつまでに、どの政策ラインで一線画すか」示せ!

号外速報(7月1日 19:00)

2026年7月号 POLITICS [号外速報]

合流協議の仕掛け人、公明党の西田実仁幹事長(写真/宮嶋巌)

中道改革連合、立憲民主党、公明党の3党首が、中道への合流も視野に入れた協議体を作り、具体的な議論に入るという。

一見すると、巨大与党に対抗する「中道勢力の結集」、政界再編の足がかりに見える。

しかし、舞台裏に透けて見えるのは、天下国家の針路をめぐる理念ではなく、次期参院選を睨んだ各陣営の「組織防衛」という、極めて内向きな打算である。

西田幹事長が産別労組に「直談判」

東京・千代田区の連合本部(写真/宮嶋巌)

合流協議の仕掛け人は、公明党幹事長の西田実仁参院議員だ。

自公連立離脱から中道改革連合結成を担った西田氏は、野田佳彦、斉藤鉄夫両氏が執行部から離れた今、合流を推進する重責を負う。

西田氏は中道の大きな塊を作るため、参院で二つに割れた立憲と公明の合流を画策したが、立憲側は「時期尚早」とけんもほろろ。このため西田氏は、立憲の最大支援組織である連合の産業別労働組合(産別)を精力的に回り、地ならしを続けてきたが、立憲側は動こうとしなかった。

業を煮やした西田氏は、中・公の「先行合流論」を主張し、産別労組のキーマンに直談判に及んだ。この結果、連合の主要7産別が立憲側に協議体の設置を求めたのは、組織内議員の当落がかかっているからだ。

万一、中・公が先行合流して衆参揃った野党第一党が出現したら、立憲は孤立する。勢い中・公の新執行部による「公明系現職優先」の枠組みが進みかねない。

産別労組は立憲に早期協議入りを促し「西田氏に28年参院選で産別議員(現職5人)の当選を確約させる目論見だった」との見方がある。

参院議席が減っても合流を急ぐ理由

立憲民主党の「参議院のドン」、水岡俊一代表(写真/宮嶋巌)

実際、前回22年参院選比例区の得票数を比べると、公明当選6人は43万〜26万票に対し、連合系産別当選5人は17万〜11万票と半分以下。仮に中・立・公が単純に合流したら、28年参院選比例区の公明現職は全員当選するが、産別現職は半減しかねない。

危機感を募らせた産別労組が立憲の水岡(俊一)代表に協議入りを迫ったのは「裏で公明が『産別5議席』を呑んだからともっぱらだ」(立憲関係者)。ちなみに水岡代表は日教組の組織内議員、参院議員会長を長く務める「立憲参院のドン」だ。

なお、28年参院選の改選・選挙区で公明、立憲の現職が重なるのは埼玉、東京、神奈川、愛知、福岡の5選挙区。定数6の東京は複数当選が見込めるが、他の選挙区は共倒れを防ぐため調整が必要だろう。

埼玉選挙区では西田氏と立憲の高木真理参院議員とぶつかる。選挙区の候補者調整は来年の統一地方選後に先送り。合流を優先する目論見だ。

公明が現有議席を削っても合流を急ぐのは、産別側の組織防衛に協力しても、中道の大きな塊への期待(浮動票)が高まるならば「連立離脱の大義名分が立ち、支援母体の創価学会への説明もつく」(公明党関係者)。

公明党は長年、自民党の補完勢力(連立与党のパートナー)としての地位に甘んじてきたが、新たな「中道結集」において主導権(或いはキャスティングボード)を握れたなら、自らが掲げる理念「平和・福祉国家実現」への道筋が拓けるだろう。

「論理破綻の全方位推薦」で墓穴

公明党が抱える深刻な悩みは「創価学会の高齢化と組織力の低下」という構造的な問題だけではない。

2017年の長沢広明参院議員、樋口尚也衆院議員による女性問題での辞職、21年の遠山清彦衆院議員による貸金業法違反での辞職など、相次ぐ身内の不祥事は、支持層に「自分たちが汗を流して応援してきた大義は何だったのか」という深い幻滅をもたらした。

そこへ追い打ちをかけたのが22年に発覚した自民党派閥の裏金問題である。

斉藤鉄夫代表(当時)は、昨年10月の連立離脱に際し「連立の大義を支持者に伝えてきたが、自民党の不祥事を説明することに限界が来ている」と釈明したが、公明党の衆院選敗北の主因は、まさに同党執行部による顕著な「自己矛盾」にあった。

公明党は、自民党ですら非公認とした埼玉13区の三ツ林裕巳氏や兵庫9区の西村康稔氏を推薦したほか、比例重複が認められなかった裏金関係議員35人も一斉に推薦した。

「真摯な反省と説明責任を果たすことで合意した」という推薦理由は、斉藤代表が語った「説明の限界」とは真逆のダブルスタンダードであり、論理的な破綻だった。

近年の公明党の比例票減少は、単なる組織の衰退現象ではない。

「度重なる身内のスキャンダル」と、選挙の利害を優先した「論理破綻の全方位推薦」に対し、党員・支持層が突きつけた拒絶反応(執行部批判)であることは明白だった。

かかる苦境下で、連合の約680万組合員が支援する中道勢力の合流新党を実現することは、公明党執行部への批判を減らし、自らの宗教政党色を薄めつつ、一般の労働者や中間層に溶け込むという、新たな支持層拡大の道筋が見えた面もあろう。

突きつけられた「冷酷な現実」

「同じ空気を吸いたくない」と酷評された立憲民主党の古賀千景参院議員(参議院HPより)

しかし、この野心的な目論見は今、あまりにも冷酷な現実に直面している。

5月に公表された連合の組合員アンケート(2月の衆院選総括調査)の結果は衝撃的だった。

支持政党で「中道改革連合」を選んだ組合員はわずか4.6%にとどまり、国民民主党(26.8%)、自民党(15.5%)、立憲民主党(11.3%)に大差をつけられた。

連合組合員の「票心」は完全に多様化(個人化)しており、上層部の号令で動く「集票マシーン」は「張り子の虎」に過ぎないことが判明した。

公明党からすれば中道の旗の下に大きな塊を作っても、肝心の組合員票は国民民主や自民に流れるだけ、自らの支持層拡大の足しにならない現実が浮かび上がった。

それに輪にかけて深刻なのは、公明と立憲の「国家統治」と向き合う姿勢と覚悟の決定的な乖離である。

6月15日参院決算委員会における立憲・古賀千景議員(日教組出身)の「自衛隊に行く子どもたちは経済的に厳しい」という発言は、公明党組織全体、とりわけ所属地方議員3千人弱を憤激させるものだった。筆者の知る某地方議員は「同じ空気を吸いたくない」と言い切った。

それだけでない。「左派・リベラル」「活動家」と揶揄される一部の立憲議員が繰り返す週刊誌報道をなぞった個人攻撃や、安全保障を担う国家組織への偏った観念論は、「ジャパンファンド」の設立など現実的な政策を提案して来た公明党のスタイルと、あまりにもかけ離れている。

公明党の支持層は今、「国家観」が全く異なる勢力と、単に「自民党に対抗するため」だけに野合することへの強い懸念と拒絶感を抱いている。無党派層の太宗からも、かかる野合は「政権担当能力の放棄」と映り、中道勢力の大きな塊への信頼を失墜させる、と。

有権者を欺く「数合わせの茶番劇」か

「いつまでに、どの政策ラインで一線を画すか」――。中道改革連合の小川淳也代表(写真/宮嶋巌)

現実問題として、新潟の原発問題や沖縄の基地問題といった国家の根幹に関わる路線の乖離は「中・立・公」合流のクリティカルな障壁である。

6月25日の立憲・全議員懇談会後、森裕子参院議員らが「私は賛同できない。立憲は原発ゼロ目標や辺野古新基地建設反対を掲げているが、中道改革連合はいずれも事実上容認している」と明言したように、立憲党内に克服し難い亀裂を生じている。

立憲は今、致命的な二者択一のジレンマに陥っている。

現実路線に舵を切れば「原発ゼロ」や「辺野古反対」を叫ぶ左派・リベラル層の票を失う。逆に左派・活動家と揶揄される教条的で極端な議員を抱え込めば中道合流は破談となり、公明支持層や穏健保守層は完全に離反して政権奪還は永遠に不可能となる。

このジレンマから目を背け、選挙のたびに「曖昧な公約」でお茶を濁そうとする姿勢は、有権者から「天下国家を語る資格なし」と、とうに見透かされている。

中道改革連合の執行部は、左派・活動家と揶揄される所属議員の顔色をうかがって時間を浪費すべきではない。

「いつまでに、どの政策ラインで一線を画すか」――。

3党合流のルールを明確に提示する覚悟が求められる。

議席数や組織の防衛という目先の打算だけで集まった「理念なき合流」は長くは続かない。早晩、破綻・分裂するに決まっている。

真に政権交代可能な2大政党制を展望し、健全な民主政治を取り戻そうとするのなら、中・立・公は自らのエゴを捨て、安全保障やエネルギーといった国家の根幹に関わる「一致点」を議論し、早急に詰めるべきだ。

それナシの合流協議だとしたら、有権者を欺く「数合わせの茶番劇」に過ぎない。

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