2026年4月号 BUSINESS [商略「探照灯」]
1968年3月、京都の金型メーカーの技術者だった坂東和彦(1935~2014年)は米北東部ニュージャージー州の片田舎にある工場へ視察に訪れた。日本電気(現NEC)向けに半導体製造装置用の金型を作る工程を見学したのだが、作業の精度は甘く、どうにも粗(あら)が目に付いて仕方ない。当時坂東は32歳。大阪で生まれ、滋賀・大津の中学を卒業し社会に出た。日本人の海外渡航自由化の4年後、若い坂東に海外視察が許されたのは在籍した第一精工(現I―PEX)が設立間もないベンチャー精神に溢れる会社だったからだ。金型一筋で腕を磨いてきた坂東には「日本を代表する大企業がなぜこの程度の技術しかない海外の工場に大事な金型を発注するのか」という疑問が脳裏を離れなかった。「あの程度の製品だったら明日にでも作れる」と内心独り言をつぶやいた。自信の根拠はあった。職場の京都・伏見は神社仏閣が多く、作 ………
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