号外速報(3月5日 08:20)
2026年3月号
BUSINESS
[号外速報]
by
山岸一生

自民党の菅原一秀氏に敗れた筆者。東京9区・石神井公園駅前での街宣活動(写真/本誌・宮嶋巌)
2月7日の衆議院総選挙は、劇的な結果に終わった。
私は立憲民主党の議員として、東京9区(練馬区西部)で2021年から2期4年あまり議席をお預かりしてきたが、今回、中道改革連合から立候補し、多くの仲間とともに落選した。
3週間がたった2月28日の土曜日に、中道が初めて、落選者へのヒアリングを行った。
会はオンラインで、私も参加した。前執行部への厳しい批判、活動継続への支援の要望、中道の行く末への意見、さまざまな声があった。建設的な意見も多く見られた一方で、私にはかなりの時間が、「他責」と「依存」の罠にはまっているようにも思えた。
トップダウンで新党をつくって負けたので、誰かを責めたい気持ちは分からないでもない。だが、選挙はどこまで行っても究極の自己責任だ。また、小川淳也代表はじめ執行部に何とかしてほしいと、誰かを頼りたい気持ちも、同様に分からないでもない。
だが、落選者に求められているのは自らの行動ではないだろうか。
私は、「他責」と「依存」の罠から逃れ、いまこそ、志を共にする仲間と自発的につくりはじめた、未来のためのプラットフォームである「Polaris(ポラリス)」を、さらに前に進めなければならないとの思いを強くしながら、ヒアリングを終えた。
今日はそのポラリスと、野党の再生について、お話をさせていただきたい。

大惨敗の3日後に開かれた中道の議員総会(2月11日、写真/宮嶋巌)
「これから、どうしよう」
選挙が終わり、あいさつ回りをし、事務所の片づけをしながら、私は悩んでいた。
選挙区をお預かりした2019年秋から6年余り、とことん練馬の現場を回ってきた。
やれることは、やりきった。これまでともに歩んできた皆さん、そして公明党の皆さんにも、本当に応援していただいて感謝しかない。それで、この大惨敗だった。
落選者はなにをすべきか。これが「ふだんの」選挙だったら、いつも通り駅に立つ、チラシを配る、もっと地域を歩く、SNSを更新する…などと、今までの活動をさらに強めることが正しいだろう。
だが私には、今回の選挙では、何かが不可逆的に変わってしまったという思いが強かった。いわば「ゲームのルールが変わった」という感覚だ。
若干乱暴だがあえて数字で説明するならば、こつこつ地域を回って「3000票」増やそうとしてきたら、まったく別の次元で「30000票」が決まる世界に来ていた、と言えば、この感覚を共有していただけるだろうか。
これまでと同じ思考と行動では、次もまた同じように、私たちは国民から選ばれないのではないか。根本的に、自らを変えていく必要があるのではないか。
どうすればいいのか――。
困った時は、まず同じ境遇にある仲間どうしで語るのが一番だ。
私たち、立憲民主党の2021年初当選同期は、「一期会(いちごかい)」という同窓会を作って、定期的に集ってきた。
今回、渡辺創さん(宮崎1区)以外の全員が落選した。まず、一期会メンバーを皮切りにして、おもに若手の仲間と話し始めた。
落選者には、3つの表情があった。泣く、怒る、そして前を向く。
一人ひとりくっきり分かれるというよりは、私自身も含めて、一人の中に3種類の感情があり、グラデーションを成していた。そうした中で、思った以上に、「何かしなければ」と前を向く仲間が多いことも分かってきた。
仲間の自治体議員や、ずっと応援してくれている方々、地域の皆さん、SNS上の声とも、それぞれ向き合ってきた。
ひとつ見えてきたことがある。それは、みなが「なんとかしなければ」との思いがありながら、ばらばらに悩んでおり、孤独のうちに、なかなか前に進まないという苦しさを抱えていることだ。
中道は衆院議員49人のみの政党になっており、国会対応で精いっぱいだという状況も、よく伝わってきた。現職の仲間には、国会論戦でどんどん頑張ってもらわなければいけない。今の環境では、党に対して「場を設けてほしい」「何かしてほしい」と依頼しても、すべてがスローモーションにならざるを得ない。
党にだけ頼ることはやめよう。私たち落選者は、バッジもおカネもないが、時間と熱意だけはある。自分たちでやれることをやろう。
まずは、集まって考えよう。みんなで踏み出そう。そのための場づくりこそ、今一番大事ではないか――。これがポラリスの出発点だ。

「Polaris(ポラリス)」の準備会合に集まった落選者たち(2月26日)
言い出しっぺの私が「勝手事務局」として、首都圏の若手を中心に訪ね歩き、中道・立憲・公明の国会の仲間にも説明していった。
選挙後2週間あまりで、一定の方向性が見えてきたので、2月26日の木曜日に準備会合を開いた。
11名の落選者がオンライン含めて集い、1時間半、本音で語り合った。
参加してくれた落選者は、五十音順に荒井優(北海道3区)、市来伴子(埼玉8区)、酒井なつみ(東京15区)、桜井周(兵庫6区)、鈴木庸介(東京10区)、宗野創(神奈川18区)、反田麻理(東京17区)、松尾明弘(東京7区)、水沼秀幸(千葉4区)、山岸一生(東京9区)、吉田晴美(東京8区)の各位。
これだけのメンバーが、前向きな気持ちで集ったことを、私は誇りに思いたい。
みなさん、ありがとう。
その場では、ポラリスをつくり、それぞれが周りに呼びかけて、まずは主に三つのことをしようと、確認した。
一つ目は、みんなで語る、「場」「プラットフォーム」をつくること。
二つ目は、新たな「政策の構想軸」を研究すること。
三つめは、SNSやAIなどの情報技術を政治に実装すること。
最初のイベントとして、まず3月に、「キックオフの場」を持つことを確認した。
立場を超えて、多くの方にご参加いただき、自由に語り合う場にしていきたい。ぜひSNSでのお知らせをお待ちいただければありがたいと思っている。
準備会には、国会の中道と立憲の現職の仲間からも励ましをいただいた、また、数は限られるが、自治体議員や市民の方々にもご参加をいただいた。
政治再生は、国政の政治家だけでできるものではない。幅広い思いを結集できるような場づくりを目指したい。
一つだけ補足しておくと、報道で「落選者が政治団体を結成へ」とご紹介をいただいたが、ややミスリードに見える。
政治団体をつくるのは、活動のために必要なあくまで手段であり、それ自体が目的ではない。劇的な選挙の後には、必ず「離党・復党・新党」といった政局的な動きが起こりがちだが、ともすれば国民の皆さんには「また、政治家が自分のためにやっている」と映ってしまうのではないか。
もちろん、1年後2年後の政治状況は全く予測がつかない状況なので、将来的なあらゆる可能性は否定しないが、古い永田町の論理で右往左往するのではなく、未来のための場づくりだということは、改めてお約束しておきたい。

言い出しっぺの私が「勝手事務局」(筆者の山岸一生氏)
私は今、焼け野原のど真ん中で、みんなで「むしろ旗」を立てる、という思いだ。
私たちは乱世に生きている。
永田町的には「民主党の時代」が終わった。戦後日本にとっては「昭和リベラル」の時代に一区切りがついた。国際的には「戦後秩序」が激変しつつある。様々なことが変化を求められている。
同時に、激動の時代だからこそ、守り抜くべき日本の良さもまた際立ってきている。
平和・人権・ルールを貫く、地域から信頼される国であるということ。
一人ひとりの自由な生き方や人生選択を支える、開かれた社会であるということ。
マネーゲームに踊らず、AI時代にあって働く者の尊厳を支える経済をつくること。
高市自民党政権とは異なる、新たな道筋は確かにある。そのためにも、野党が立ち止まっているいとまはない。
明治維新は、脱藩者や浪人たちが駆動力となった。戦後日本の再生は、焼け出された人たちが汗をかいて、豊かさを勝ち取った。
今の政治状況も、乱世であり焼け野原だからこそ、私たち落選者には、悩み苦しみながらも、国会の外において担いうる役割があるはずだ。ポラリスを、小さくともその役割が担えるよう育てていきたい。
ポラリスがさきがけとなり、日本のあちこちから落選者をはじめとした新たな動きが始まることを願う。そして国会の中道・立憲・公明の仲間とも連帯していきたい。
結びに、ポラリス=北極星という名前に込めた思いをご紹介したい。
一つは、分け隔てなく誰もが道しるべにする北極星のように、穏健保守からリベラルまで、立場にとらわれず自由に参加できるプラットフォームを目指す。
二つは、闇夜にあってぶれない北極星のように、困難な時代にあって個人の尊厳を守り、平和を守り、政策の筋を通す、新たな軸をつくる。
そして最後に、未知の荒海に乗り出す航海者をいざなう北極星のように、変化を恐れず、新たな技術を取り入れて、政治に実装する。
政治再生の先頭に立つ覚悟を込めた名前だ。
ポラリスは、絶望の延長線上に立つものではない。敗北の中に残された人材と意思を結び直し、次の時代を切り拓くための試みである。いま、動かなければならない。ともに踏み出そう。
事務所は「コールドスリープ」のため、ご連絡・応援はhttps://yamagishi-issei.jpより