2026年1月号 BUSINESS [商略「探照灯」]
日本の半導体産業が上昇気流に乗りつつある。といっても、巨額の政府支援を受け極細チップ量産に挑んでいる「国策ファウンドリー(生産受託会社)」の話ではない。半導体の工程に使う素材や装置を供給するニッチな周辺市場で断トツの世界シェアを持つ企業群のことだ。その「真打ち」ともいえる会社が半導体切断装置メーカーのディスコである。創業は1937年。広島県呉市で生まれ、東亜同文書院を卒業し、満洲国官吏となった関家三男(1909~89年)が役人生活に嫌気がさし、故郷に戻り同社の前身「第一製砥所」を呉市阿賀町に設立した。手がけたのは物の切断や研削・研磨に使用する「砥石」の製造。業界の人々は金属や岩石を切削・研磨する「刃」を含む道具全体を「砥石」と呼ぶ。この年、呉海軍工廠で戦艦「大和」の建造が始まり、街中が好景気に沸いていた。工廠周辺に高角砲の内面研磨に使う高価な砥石 ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。