元日産志賀の一声でできた社史は肝心なことが抜けている。後継JICは同じ轍を踏む。
2025年8月号 BUSINESS
7月上旬、一部の関係者に対して、1冊の本が配られた。タイトルは『INCJ 15年の軌跡』(同社社史編纂委員会)。6月末に解散した官製ファンドINCJ(旧産業革新機構)の15年間を綴った社史だ。
日産自動車出身の志賀俊之INCJ会長が「我々の15年間を包み隠さず、後世の資産として残したい」という強い想いを抱き、社史編纂プロジェクトを立ち上げた。144件、計1兆3600億円の投資案件を総括する――。そんな触れ込みでまとめられた350ページの大作だが、その内容は自画自賛と自己弁護に満ちていた。経団連副会長を務めた経験のある財界人OBはこう指摘する。「経済同友会の幹部には自画自賛型経営者が多いんだよ。代表格が志賀さんと日本経済新聞で半生を振り返っている元資生堂の魚谷(雅彦)さんだね」INCJ幹部は「大手メディアの報道は批判ありきで悪意を感じる」という認識を共有している。公金を扱う官製 ………
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