水の嫌いなカマキリに寄生し、水辺に導き、飛び込ませて魚の餌となり、自分だけは糞として放出させ水中で増殖するハリガネムシの話をしたことがある。葉陰にいる芋虫に寄生して、目立つ枝の先に登らせ、鳥に食べさせ、糞として葉っぱにばらまいてもらうウイルスもある。いずれも、ほかの生き物を利用して、自分の卵とかウイルスなど、遺伝情報を拡散させ、増殖をたくらむ寄生生物の戦略である。脳を操られるのは虫などの世界だけで、人間には起きえないと思われるだろうか。ところが、私に言わせれば、高度の頭脳を有する（と思い込んでいるだけかもしれないが）はずの人間は、ほかの生き物以上に情報に操られやすい。選挙では、ネット情報で投票行動を操る戦略が重要とされ、実際に議員や時に大統領の当落までが左右されている。振り込め詐欺のトーク術、自殺を誘導する手口、怪しげな思想や陰謀論に至 ………