連載/病める世相の心療内科/赤毛のアンが生きた「最も幸せな時代」/遠山高史・精神科医

2025年6月号 LIFE [病める世相の心療内科]

  • はてなブックマークに追加

以前、畑に小屋を建てたら違法建築とされ、解体する羽目になったが、代わりに、切妻屋根と白い板壁のトレーラハウスを栴檀(センダン)の大木の横に設置した。車が付き、移動可能なので農地法で合法となるのだという。これが思いもかけず農地を訪れる人々の評判が良い。中古の売れ残りだったものだが、緑に包まれ、大木の枝に覆われた佇まいが不思議と周囲と調和し、人をほっとさせるようだ。遠目からは、赤毛のアンが住んだグリーンゲイブルス(緑の切妻屋根の家)に見えなくもない。1908年に出版された「赤毛のアン」は、米国との国境に近い、カナダ東海岸のプリンス・エドワード島を舞台にした長編小説で、現在も映画や演劇、絵本にもなり、世界中で親しまれる名作である。人々を魅了するのは、北米大陸に移り住んだ白人移民たちにとって最も幸せな時代が背景であるせいであろう。南北戦争が終結し開 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。