「稲葉家世襲」に自ら幕を降ろす/ 「ファナック二代目」会長の花道

「カリスマ依存のワンマン体制は社内に依頼心を蔓延させ、思考力を奪う」。 世襲を嫌った稲葉善治会長の退き際。

2025年6月号 BUSINESS [商略「探照灯」]

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ファナックの稲葉善治会長(76)が6月27日の株主総会後に退任し、取締役からも外れ、特別顧問となる。富士通の一部門だったNC(数値制御)事業を世界最大のCNC(コンピューター数値制御)工作機械メーカーに育て上げた功績は専ら実父の稲葉清右衛門(2020年10月に95歳で死去)に帰すとはいえ、創業以来のワンマン体制と訣別し、ガバナンス(統治)に安定をもたらした手腕は高く評価されていい。

あの清右衛門の一人息子

「富士山の麓にあるファナックの秘密研究所の実験室には10分進められた時計が壁に設置されている」今から10年前、2015年2月19日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)にこんな一文で始まる記事が掲載された。「(10分進められた時計は)世界最大のロボット会社で働くスタッフにマーケット対応へのスピードを意識させる」。奇妙さに溢れたこの会社は「カルト集団」のように運営され、スタッフは創業者のお気 ………

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