がん専門医が憂慮の声を上げる/高額医薬品の「コスパ!」

「日本臨床腫瘍研究グループ」が費用対効果を考慮に入れた診療ガイドライン作成中。

2025年4月号 BUSINESS

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政府が打ち出した、高額療養費限度額の引き上げが頓挫した。新規薬剤の高額化や社会の高齢化を受け、何らかの手を打たねば公的医療保険制度を維持できないと考える政府と、上限引き上げは治療断念に結びつきかねず、命の問題だとする患者サイドが正面衝突した。その是非はともかく、尋常ならざる医療費高騰の裏側を少しだけ、お伝えしたい。

「NNT」考慮なき医療現場

石破首相が予算委員会で名前を出した「オプジーボ」は、世界初の免疫チェックポイント阻害薬である。2015年、切除不能の肺がんに使えるようになった際には、各種メディアが一斉に「奇跡の治療薬」として持て囃した。当時の薬価では年間1人当たり4千万円弱だ。もっともその後、薬価は引き下げられ、現在ならば年間約750万円である(併用治療の費用や診察・検査などにかかる費用は別)。しかし、実際にこの薬で患者を救うには「年間750万円」追加だけでは済まな ………

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