経産省のメンツ優先/ラピダス「試作計画」の愚劣

契約書の書き方で右往左往してしまう拙さ。顧客不在のまま「27年量産」を目的化。失敗から学ばぬ経産省。

2025年4月号 BUSINESS [小池社長は願望ばかり]

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「ラピダスへ行こうと思っています」――。東芝半導体部門の30代技術者が2024年10月、親しい上司にこう打ち明けた。東芝では24年11月末に国内社員の5%にあたる3千人超が会社を去った。23年に東芝を買収した投資ファンド、日本産業パートナーズ(JIP)の経営再建策で大規模な早期退職を募集したためだ。

契約書の書き方を教えて欲しい

なぜラピダスなのか。この技術者は「今、入社すれば米国のIBMの拠点で1年間は研修を受けられる。東芝では得がたい経験ができる」と語った。その上で、こう付け加えた。「研修後に帰国した時、ラピダスが軌道に乗っているとはとても思えない。IBMでの研修経験を生かして、より良い待遇の半導体企業に転職するのがベストシナリオ」。入社予定の技術者にとっても、ラピダスの自立は雲をつかむような話に映る。ラピダスは経済産業省が主導する国策半導体企業だ。半導体設計企業から製造を受託し、北海道 ………

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