南部ザポリージャ州の前線の村、テミリウカに入った。東方から攻めるロシア軍はこの2カ月で2キロ進軍し、村の手前5キロに迫っており、ウクライナ軍は後退を余儀なくされている。兵士の手引きで、約1時間、村を歩いて回ると、家屋の大半は破壊されており、教会の一部も崩れ、小学校の校舎の中はめちゃめちゃになっていた。かつて600人が住んでいた村は人けが完全に消えており、寒くて、どんよりとした曇り空のなか、村が失われてしまったことを実感した。テミリウカには実は2022年9月にも来たことがある。当時も前線の砲撃音が頻繁に聞こえていた。住民の大半はすでに避難していたが、まだ暖かい日差しのなかで映える美しい緑の風景が印象に残っていた。前回の訪問の際に1人で村に残る50代後半のミハイロ・ドヴホポリクと出会った。クラスター爆弾の破片が彼の自宅の庭先に刺さり、畑にはミサイルによる ………