トランプディールには 「日本の首相」で臨め！／by 滝田洋一
「安保」はビジネス、「外交」はディール、「戦勝」は成功報酬
2025年3月号 BUSINESS
外交をディール（取引）と心得る大統領とは馬が合うとは思えない。だが前門の虎ならぬトランプの関門はひとまず乗り切った。石破茂首相も側近も胸をなでおろしている。
待った、忍んだ、譲った
来た、見た、勝った。カエサル風に言えば、石破首相は待った、忍んだ、譲った。そうしてドナルド・トランプ大統領との会談をそつなくこなした。最大の成果は日本製鉄によるUSスチール買収という日米間の火種になりかねない案件を、玉虫色で処理したことだろう。待った。昨年11月に南米訪問の帰路、大統領選に当選したばかりのトランプ氏への面談を打診し、すげなく断られた。仕切り直しは難航したが、今年1月20日の大統領就任の前ではなく、就任後に会談時期を設定したことで、会談内容は公式の合意となった。何よりも「傾向と対策」を十分に練ることができた。忍んだ。トランプ流の政治手法に官邸のぶら下がりで時折もらす小さなた ………
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