連載/ロシア軍の凄惨な拷問に遭った神父の証言/古川英治(キーウ在住)

2025年1月号 LIFE [ウクライナ・ダイアリー]

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壁に両手を付け、両足を広げた格好で、背中や頭に激しい殴打を受ける。同時に片足に足を掛けられて股裂きされる。そして、気を失うほどの電気ショックに、爪剥がし。断末魔のような悲鳴が響き渡り、それを聞くほかのものは自分の番への恐怖に震える。ヴァシル・ヴィロズブがロシア軍の捕虜収容所で行われている拷問の実態を証言した。想像はしていたが、あまりに生々しい話に耳をふさぎたくなった。ヴァシルが私を壁に立たせ、軽く「股裂き」を実演しただけで、私は大声を出してしまった。ヴァシルは南部オデーサのウクライナ正教会の神父だ。2022年2月、ロシアの本格的な侵略が始まった直後、黒海沖の要衝ズミイヌイ(スネーク)島から兵士の遺体を収容するよう軍から要請を受け、プロテスタントの牧師や医師を含む23人の乗組員とともに民間の捜索救助船で島に向かった。その途中、敵に拿捕された。尋 ………

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