連載/病める世相の心療内科/「カルテ電子化」に反対する理由/遠山高史・精神科医

2025年1月号 LIFE [病める世相の心療内科]

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目下、カルテの電子化が義務化されようとしている。医療機関どうしの連携が容易になり、患者情報を共有化することで医療機関ごとに似たような高い検査をする必要もなくなり、医療費削減の効果があると当局は思っているらしい。かつて私がある自治体の精神科救急病院の管理者であったとき、身体疾患を診る他の自治体病院がすべて電子化したので、電子化するようにとの指導を受けたが、二つの理由でそれに反対した。一つは、病院間の情報の共有化は重要なことだが、精神疾患の情報が伝えられることにより、逆に身体疾患の受診の際に受け入れがスムーズにいかず、患者が不利益を被ることになりかねない、との懸念である。例えば、精神疾患があると、身体の不調で病院を受診しても、精神科医が不在で精神症状の悪化時に対応できない、との理由で受け入れを断られることがある。そもそも大きな総合病院で、精 ………

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