1990年公開の映画「プリティ・ウーマン」で、主演のリチャード・ギア扮する実業家は不振の造船所を買収して資産を切り売りし、儲けようとする。しかしジュリア・ロバーツ演じる純真なコールガールと接するうちに改心し、最後は造船所再建に協力する。実際にはリチャード・ギアが演じたような実業家は現れず、米国造船業は著しく衰退した。造船業は軍事力の重要な構成要素だ。第二次世界大戦の連合国勝利に、実業家ヘンリー・カイザーが仕様を標準化した輸送船「リバティー船」は兵站線維持で大活躍した。ブロック建造とアーク溶接を多用し、大戦中に1490隻も建造された。米国造船業の高い生産性を蝕んだのが「1920年商船法」（1920年制定）だ。提案者の上院議員ウェスリー・L・ジョーンズにちなんで通称「ジョーンズ法」と呼ばれ、米国内の貨物運送に用いる船舶の米国内建造を義務付けている。受注を保 ………