行き過ぎた「株主還元」/麻薬のような「自社株買い」

1月~8月の自社株買い取得枠は12兆円!従業員の給与は二の次三の次。とにかく株価を上げようと狂奔している。

2024年11月号 BUSINESS

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自社株買いが急増している。2023年の上場企業が公表した自社株買い取得枠は約10兆円で、この10年間で5倍になった。今年に入ってさらに勢いが増し、早稲田大学のスズキ・トモ教授の研究室が調べたところ、今年1~8月で取得枠は12兆円になった。毎日のように上場企業の自社株のプレスリリースが出され、「自社株買いラッシュ」と報道する新聞社もある。自社株買いとは、会社の資金で自分の会社の株式を買い戻すことだ。資本効率も高まるため、株主還元策の一環とされる。余剰資金を株主に還元する意味合いもある。背景には、7年8カ月続いた安倍政権で推し進められた経済政策「アベノミクス」がある。安倍首相は、日本の上場企業の株価を上げようと、海外の機関投資家に「日本買い」をアピール。併せて政府や東証は、日本企業にROE(自己資本利益率)やPBR(株価純資産倍率)の向上を求め、各企業は手っ取 ………

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