連載/エネルギー満ち溢れる前線のアート空間/古川英治(キーウ在住)

2024年10月号 LIFE [ウクライナ・ダイアリー]

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ロシア軍による無差別攻撃が続くハルキウの週末、ソ連時代に建てられた工場に続々と人が集まってきた。「シェルター」と表示されたホールに入ると、異空間が広がる。DJがビートの効いたダンスミュージックを大音量で流し、若者が思い思いに踊る。アートスペース「Some Peop le」は2023年夏に立ち上がった。この日のようなレイブのほか、演劇やコンサートを不定期で開催している。空襲に備えて建物を増強し、爆風で吹き飛ばされないようすべての窓を塞ぎ、安全な空間を整えた。「空襲警報が鳴ると、みなさん、ダンスホールに行って、踊ってください、と叫ぶのさ」。創設者のアントン・ナザルコウは面白そうに語る。キーウに次ぐ第二の都市であるハルキウはロシアとの国境から30キロしか離れていない。22年2月の本格的な侵略直後からロシア軍はハルキウ攻略を狙って激しく攻撃してきた。いまも集合住宅や ………

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