連載/病める世相の心療内科/自我の機能を鈍らせるネット社会/遠山高史・精神科医

2024年10月号 LIFE [病める世相の心療内科]

最近、適応障害という病名で会社を休養する若者が多くなっている。職場での何らかのストレスに傷ついて気持ちが沈み、働く気力を失ってしまった場合、この診断名で休養の書類を書く。この何らかのストレスは、過労とか仕事内容への不適応といったことはあまりない。たいていは、職場での人間関係がストレスのもとになっている。この人間関係を主に取り扱う心の機能を、自我と呼ぶ。心は目に見えないが、その構造は皮と中身である。地上の生き物は基本すべて皮と中身でできているが、心において、自我はその皮に相当する。心の中身というべき感情や欲動を抑制・制御し、他者との人間関係を円滑にさせる装置ともいえる。その機能が、変化してきているように考えられる。そもそも自我は人類が集団で活動するために存在する。他者との交流を一切しないのなら、自我はいらない。餌のありかと、捕食動物の接近 ………

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