連載 「経済断影」/地方を追い込む「最低賃金の引き上げ」競争/井伊重之・経済ジャーナリスト

2024年9月号 BUSINESS [経済断影]

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厚生労働省の中央最低賃金審議会が今年の最低賃金の目安額を決めた。全国加重平均で1時間あたり1054円とし、昨年より約5%引き上げる。引き上げ幅は4年連続で過去最大を更新し、多くの道県の最低賃金は時給1000円の大台に突入する。春闘に続いて賃金引き上げの流れが加速している。少子高齢化に伴って全国的に人手不足が深刻化しており、個人消費を刺激する観点からも労働者が受け取る賃金を引き上げるのは当然だ。賃金が高い会社に人が集まり、安い会社からは人が逃げていく。政府関係者も「賃上げを通じて企業の新陳代謝を促し、地域経済の活性化につなげる」としている。最低賃金法に基づいて定められる最低賃金は、強制力を持つ賃金水準だ。これに違反した経営者は刑事処分を受けることになる。すでに都市部では最低賃金で人材を確保するのは難しいが、地方の中小・零細企業にとっては影響が大きい ………

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