「脱カルト集団」の試練/ファナック「稲葉王国」が突然の幕引き

直近10年近くは出世を阻まれた3代目が突然退社。脱創業家を象徴する人事なのか?

2024年9月号 BUSINESS

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ファナック創業者の稲葉清右衛門(1925~2020年)は富士通の1部門に過ぎなかった計算制御事業を育て、富士山麓の山梨県忍野村にロボットがロボットを製造する一大生産拠点を築き上げた。超ワンマンを貫き「即断即決」のスピード経営で成果を挙げたが、サラリーマン経営者としては掟破りの世襲を断行し長男の善治(76)を後継者に据えた。その清右衛門が鬼籍に入り4年。コーポレート・カラーに因み「黄色い帝国」と呼ばれたファナックが激震に見舞われた。稲葉家の3代目が唐突に会社を去ったのである。

「円満に退社しました」

「本人の希望により6月30日付で円満に退社しました」。広報担当者がこう説明するのは専務執行役員の稲葉清典(46)。現会長の長男、つまり清右衛門の孫である。ファナックは当初沈黙。創業者の孫で直近まで専務執行役員やロボット事業本部長という重要ポストに就いていた幹部の去就を公表しない広報 ………

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