世界的な大規模システム障害も問題だが、解説する国内メディアの頓珍漢ぶりも無残だ。
2024年9月号 BUSINESS
7月下旬、シンガポール。アジア太平洋地域のサイバーセキュリティー担当者が集まる国際会議の開幕が間近に迫る中、登壇者は講演の原稿の書き換えを余儀なくされた。直前の19日に世界各地で米マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を搭載したパソコンなどの端末が起動できなくなる大規模なシステム障害が発生したためだ。
影響は金融や物流、放送といった幅広い業界に及んだ。英BBCによると世界で約4700便の旅客機の運航が取り止めとなり、4万2千便が遅延した。シンガポールでは公共駐車場のシステムがダウンし、出庫できなくなるトラブルも発生。国際会議の登壇者は講演でシステム障害に言及し、会場はこの話題で持ちきりになった。原因は2011年に発足した米セキュリティー対策企業のクラウドストライクが提供する「ファルコン」というソフトの更新だった。企業や政府機関がサイバー攻撃 ………
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