狡猾な予備費倍増/「能登地震復興費」をブラックボックス化

「検査院に指摘されていない一般予備費だから支出額は公表しない」。こんな屁理屈が罷り通るものか。

2024年9月号 BUSINESS

  • はてなブックマークに追加

能登半島地震の発生から7カ月以上経ったが、依然、被災家屋の撤去や水道の復旧などが遅れている。もはや「人災」だ。政府は、能登地震に対し、補正予算を組まず、閣議決定による予備費からの支出で対応してきた。これまでに計5回支出を決めている。予備費と言えば、「使い勝手の良い財布」と揶揄される。使い道について国会での審議は必要なく、政府の裁量に委ねられているからだ。たしかに突発的な災害などに対し、緊急的にお金を出せる仕組みは意義がある。だが能登地震の予備費の使い方は、これまでと一線を画し、よりブラックボックス化させる危険性をはらむ。どういうことか。そもそも憲法83条には「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、行使しなければならない」とあり、「財政民主主義」がこの国の原則だ。国会の議決を経ない予備費は例外にすぎず、だからこそ87条第二項では「すべて ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。