21世紀初の有人月面探査という象徴的なイベントは、米中科学技術対立に決着をつける正念場となることは間違いない。
2024年8月号 POLITICS [「宇宙強国」へ名乗り!]
中国の月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」が今年6月25日、月の裏側の試料1935.3グラムを携えて地球に帰還した。月の裏側からのサンプルリターンは宇宙開発史上初の偉業である。習近平国家主席は月探査チームに向けて、「これは『宇宙強国』と『科学技術強国』の建設を目指す我が国が成し遂げた象徴的な成果である」と祝意を表明した。「嫦娥計画」は2004年にスタートした中国の月面探査計画で、米国の「アルテミス計画」とともに、21世紀初の有人月面探査と月面基地の建設を目指す。中国の宇宙開発は毛沢東の「両弾一星」から始まった。両弾とは原爆・水爆、ミサイル(導弾)、そして衛星である。文化大革命真っ最中の1970年4月24日、中国は「長征1型」ロケットで初の人工衛星「東方紅1号」の打ち上げに成功し、旧ソ連、米国、フランス、日本に続いて「宇宙クラブ」への参入を果たした。有人宇宙飛行計 ………
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