経済秘話/万事が企業防衛/生き永らえる「チッソ」/by カシアス扇谷

「最大の使命は患者補償です。ここで倒産されてしまうと、それができなくなるので絶対に避けたい」(環境省の担当者)

2024年8月号 BUSINESS [「補償費捻出」機関]

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チッソは6月27日、大阪市のリーガロイヤルホテルで記念すべき100回目の定時株主総会を開いた。出席株主はたった20人余り。水俣病の反公害闘争を戦い抜いてきた運動家たちが姿を見せるわけでもなく、厳戒な警備体制が敷かれるわけでもない。あっけないほどの短時間で、生え抜きの山田敬三(65)ら取締役6人を選任する議案がつつがなく承認された。 6年ものあいだ社長を務めた木庭竜一(70)が退任するのに伴い、山田はこの日、戦後の財閥解体後の新日本窒素肥料(現チッソ)の発足以降、晴れて11代目の社長に就任したのだった。いかに「シャンシャン総会」とはいえ、あまりにも形式的に進行し、わずか30分余りで閉会の運びとなった。いまだにチッソが株主総会を開いていること自体に驚かれる人もいるだろう。この国の公害史のなかでも特筆すべき蛮行を働いたのが、水俣病の原因企業である化学メーカーの ………

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