連載/「事務長のぼやき」第8話/働き方改革の激震「手術ができなくなる!」

「夜間は救急車を受けなければいい。地域医療にとってはともかく、背に腹は代えられない」――。

2024年7月号 DEEP [医療崩壊危機]

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外は明るいのに病院の事務長室から見える風景は暗い。西日本にある、この民間病院は今、存続の危機にあるからである。つい先ほど総務課長が飛び込んで来た。脳外科が潰れる、手術ができなくなる、という。しかも脳外科だけでない、あちこちの診療科も医師が確保できなくなりそうだ。この病院も多くの民間病院の例に漏れず、10名ほどの常勤医と数十名の非常勤医で診療体制を組んでいる。非常勤医には子育て中で短時間勤務を希望する女医さんや高齢のため働く日数を減らしている医師もいるが、多くは大学病院から来るアルバイト医師。この病院の脳外科も以前は常勤医3名体制だったが、1名が引退して現在は2名。このうち1名は大学の医局から1年間の契約で来てもらっている。さらに数人の非常勤医の派遣。手術は1人の医師だけではできない。前立ちと言って執刀医の前に立つ助っ人の医師がいる。大きな手術な ………

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