連載 「経済断影」/株主と経営陣の利益が相反するMBO/井伊重之・経済ジャーナリスト

2024年7月号 BUSINESS [経済断影]

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上場会社の経営陣が自社株を買い取って非上場化するMBO(マネジメント・バイアウト)が急増している。短期的な業績や株価を意識せず、中長期的に経営改革を実行するためにMBOを選ぶ企業が増えている。2023年度にMBOを実施した企業は18社にのぼり、株式取得額は前年度比5倍に伸びた。昨年度は大正製薬ホールディングスやベネッセホールディングス、シダックス、スノーピークなどの有名企業がMBOに踏み切った。今年度も6月に入って永谷園ホールディングスがMBOの実施を表明した。MBOが急増しているのは、上場会社の資本効率に対する市場の目が格段に厳しくなっているからだ。東京証券取引所は昨年3月、上場企業に対し、投資家が期待するリターン(資本コスト)や株価を意識した経営に取り組むように求めた。PBR(株価純資産倍率)が会社の解散価値である1倍を下回る「PBR1倍割れ」の企業は、株主が期待す ………

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