2024年3月13日、和歌山県串本町では大勢の宇宙ファンや地元の人々が空を見上げていた。民間ロケット射場「スペースポート紀伊」の射点では、民間宇宙企業「スペースワン」の小型ロケット「カイロス」がエンジンの点火を待っていた。午前11時1分12秒、第一段エンジンに点火された。「カイロス」はゆっくりと上昇を始めた。しかしリフトアップからわずか5秒後に爆発、巨大な火の玉が落下する様子をテレビの中継カメラがとらえた。発射直後に爆発した民間小型ロケット「カイロス」初号機（3月13日、YouTubeより）日本初と期待された民間ロケットによる衛星の軌道投入は見事に失敗した。同日記者会見した豊田正和社長は「深くお詫びする」と謝罪するとともに、「結果を前向きにとらえて、次の挑戦に臨みたい」と語った。新聞は翌14日の社説で、「民間ロケット　宇宙の新時代へ失敗を糧に」(読売新聞)、「『 ………