なぜ、黒字の半導体素材大手JSRを9千億円の国費を投じて買収するのか。英FTがすっぱ抜いた舞台裏。
2024年4月号 BUSINESS
国策ファンドの産業革新投資機構(JIC)が、日本の半導体素材大手JSRを9千億円で買収する。事実上の「国有化」だ。JSRの2023年3月期決算は293億円の黒字。経営危機でもない会社に、なぜ国が9千億円もの巨費を投じるのか。「経済安全保障」を錦の御旗に、およそ資本主義国とは思えない「半導体産業の国有化」が着々と進んでいる。
JICは3月中旬にもJSRにTOB(株式公開買い付け)を始め、同社を非公開にする。JSRの前身は日本合成ゴム。1957年に合成ゴム製造事業特別措置法の施行で設立された国策企業で、69年に同法の廃止で民営化され97年、JSRに社名変更した。合成ゴムから合成樹脂、半導体の基盤に集積回路パターンを転写するフォトレジスト(感光材)、光ファイバーや液晶ディスプレイ向け材料などに手を広げ、信越化学や日東電工に並ぶ化学業界の高収益企業に成長した。特にフォトレジストでは世界 ………
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