南北ともに安全装置を取り去り、偶発的な衝突が一挙にエスカレーションしかねない危険な状況。
2024年3月号 POLITICS
朝鮮半島で南北の威嚇合戦が熱を帯びている。ともに対話チャンネルを競って廃止し、衝突回避を説く人物もいない。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は韓国を「主敵」と明示する憲法改正を指示し、南とは戦争中であることを自覚せよと発破をかける。実際に戦争を始める動きはないが、問題は、危機管理のシステムも人も失われたため、偶発的な衝突が起きた時、局地戦へ、さらには戦術核弾頭の使用に一挙にエスカレーションしかねない危険な状況が生まれていることだ。
金正恩は12月30日まで開かれた党中央委員会総会拡大会議で、南北は「戦争中にある二つの交戦国の関係」が固まったと述べた。「大韓民国の連中とはいつになっても統一が実現しない」と断じ、対南接触と工作を担う党統一戦線部を整理すると宣言。1月15日の最高人民会議(国会)では韓国を「不変の主敵」である旨を盛る憲法改正を行うよう指 ………
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