春闘に影を落とす「トヨタG不正」

労使共闘という異様な春闘。視界良好のはずが日野やダイハツの不正で雲行きが怪しい。

2024年3月号 BUSINESS

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「前年を超える賃上げを!」――。勇ましい号令のもと、2024年の春闘が本格的にスタートした。デフレからの完全脱却、国民の生活水準の改善と目指す目標は非常に高いが果たして実態は……。

ない袖を振るしかない

春闘は毎年1月下旬~2月上旬に、財界の総本山である経団連と働き手の代弁者を標榜する連合のトップ会談で幕を開ける。今年は連合が5%以上の賃上げ要求を掲げる一方、経団連も基本給を底上げするベースアップを会員企業に要請。連合の要求についても「検討に資する」と評価する。かつて「ベアは論外」などと鉄面皮を貫いてきた経団連の姿からは隔世の感があるが、今年は過去に例のない労使共闘の春闘なのは確かだ。「企業トップがいち早く賃上げの数字を公表することが重要だ」。こう語って昨年10月に先陣を切って7%の賃上げを表明したのはサントリーホールディングス社長の新浪剛史だ。経済同友会の代表幹事も務 ………

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