この夏、外務省は二重のショックに見舞われた。9月13日の内閣改造で、林芳正外相の後任に上川陽子元法相（70）を充てた人事だ。岸田文雄首相は安倍晋三内閣の外相として、在任期間は4年半あまりに及んだ。ならば、2021年11月に就任した林氏はこの先も外相を続けるのではないか、という見方が根強かった。外務省幹部は内閣改造を目前にしても「うちは関係ありませんから」と語っていた。ところが、ふたを開けてみれば、まさかの外相交代だった。林氏は9月9日にウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領やクレバ外相と会談したばかりだった。先進7カ国（G7）は年内に東京で外相会合を開く方向で調整しており、議長国の外相として一度もウクライナを訪問していないのはまずいという判断だった。だが、首相が林氏に外相交代を告げたのは、林氏がウクライナから帰国し、報告のため首相を訪れた9月12日だった。 ………