達野ゆき裁判長が「名判決」 経産省はチッソの共犯者

水俣病問題の最終解決をめざした特措法は、被害者救済でもJNC上場による資金捻出でも、今や完全に破綻している。

2023年11月号 POLITICS [経済秘話⑤]

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大阪地裁の裁判官、達野ゆきは昨年(2022年)9月26日、不知火の海を訪れていた。水俣病訴訟を担当する彼女たち裁判官一行はその日、大阪から約900キロも離れた熊本県水俣市の現地にいた。そこで、今も病苦にある人たちの声を聴き、水俣病の原因企業チッソの工場と被害者の住まいの位置関係を確認した。そのあと、水俣港を船で出発し、不知火の海を見て回っている。ついで対岸の天草上島に上陸し、天草諸島の最高峰である倉岳(682メートル)に登り、山頂から不知火の海と水俣の街を一望したのである。彼女はあの日、〈海と空のあいだに〉ある水俣を目に焼きつけたに違いない。達野ゆきは岡山県出身、1995年司法試験に合格した。神戸地裁判事や大阪高裁判事、佐賀地・家裁部総括判事などを歴任したのち、21年10月から大阪地裁の部総括判事に就き、水俣病訴訟の裁判長を務めている。達野は、近畿大2年生の ………

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