事務長のぼやきシリーズ・第6弾「医療DX」は名ばかり 病院のマイナカード地獄

不安定な「顔認証」で現場は大混乱。病院や患者の負担は減らず、喜んでいるのは、保守料を稼ぐメーカーだけ。

2023年10月号 DEEP [疲弊する窓口担当者]

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外は明るいのに病院の事務長室から見える風景は暗い。西日本にある、この民間病院は今、存続の危機にあるからだ。つい先ほど医事課長が飛び込んで来た。医事課は病院の診療報酬を計算し、請求する部署。受付で患者の被保険者証を確認したり、会計処理をしたりもする。医事課長いわく、受付窓口が長蛇の列で、応援がほしいという。急に患者が増えたわけではない。ひとえにマイナカードの読み取り機をめぐっての混乱である。事務長は医療DXと聞いた当初は、胸がときめいた。アナログな病院管理を近代化する好機である。紙を持って人が動き回る時代からICTへ。診療データが共有され、膨大な病院事務も合理化される。患者がマイナカードを機械にかざすだけで手続きは完了するはずだった。マイナカードは優秀な仕組みで、患者データが閲覧できる。閲覧できるデータはNDB(ナショナルデータベース)といって保 ………

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