特別寄稿 「出口へ備え」を促す植田日銀総裁/元日本銀行政策委員会審議委員・政井貴子

2023年9月号 BUSINESS

  • はてなブックマークに追加

7月28日、日本銀行は、政策委員会・金融政策決定会合において、現行の金融政策の枠組みのもと、長短金利操作の運用を柔軟化することを決定した。日本銀行は、当座預金の一部残高に▲0.1%のマイナス金利を適用することと、10年物国債金利が0%程度で推移するように必要な金額の長期国債の買入れを行うという金融市場調節方針、いわゆるイールドカーブ・コントロールという金融政策の枠組みを導入している。今回その枠組みの持続性を高めるため、市場で長期金利が変動幅上限に上昇した場合にはそれを厳格に抑えるというこれまでの運用から、変動幅±0.5%は「目処」とし、1%までの変動は、一定程度市場に委ねるという決定がなされた。より柔軟な金融政策運営の方針がとられることとなったと言えよう。

金融政策運営の柔軟化

植田総裁は、会合当日の記者会見で、「我が国の物価情勢を展望しますと、賃金の上昇を伴うかたちでの ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。