連載 病める世相の心療内科

若者の無気力に「筋活」のすすめ

2023年9月号 LIFE [病める世相の心療内科(80)]

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漢方薬の素材は植物が多いが、そのほとんどは厳しい環境で生育している。朝鮮人参は、日当たりが悪く栄養に乏しい土壌で育ったものほど薬効が高いとされる。半夏というストレス耐性を強めるサトイモ科の植物も、雑草と競わせて生育したほうが効能に優れる。実際、私が大事に育てていた朝鮮人参はある日、溶けるように消滅した。肥料をやりすぎていたようである。栄養の潤沢でない過酷な環境の方が、植物は逞しく育ち、含まれる成分も豊かになり、それが薬としての質を高める。動物にも同じことが言える。馬に栄養価の高い野菜を与えると腹痛を起こしやすくなるように、動物に餌を大量に与えると、寿命を縮め、疫病にも弱くなる。鳥インフルエンザなどの家畜伝染病が蔓延しやすくなったのは、清潔で、餌が潤沢な飼育環境でかえって免疫力が落ちているせいではないか。人間も例外ではなく、そのことを実感 ………

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