「陸自銃撃死傷」はなぜ起こったか

「いじめ説」が解消されても陸自関係者が不安なまなざしで捜査・調査を見守っているのは、なぜかーー。

2023年8月号 DEEP

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6月14日、岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で隊員3人が自動小銃で撃たれ死傷した事件は、防衛省・自衛隊に衝撃を与えた。凶弾で人命が失われただけでなく、自衛隊の管理体制の不備を問われるとともに、昨年末に政府が閣議決定した戦略3文書が抱える構造的な問題を改めて浮き彫りにしたからだ。「銃と弾を持ち出しうろうろしたかった」「動かれたら困るので体格の大きい人を撃った」殺人容疑で逮捕された18歳の自衛官候補生の供述をめぐる報道を見る限り、いじめやパワハラが犯行の動機となったとうかがわせる材料はない。ある陸自幹部は「正直言ってホッとした部分もある」と告白する。陸自がいじめやパワハラを極度に恐れたのは、組織の信頼を揺るがす決定打になりかねなかったからだ。

「いじめ説」が広がった原因

元1等陸士の五ノ井里奈さんが2022年6月に陸自内での性被害を告発し、陸自は加害者の隊員5人を懲戒免職にすると ………

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