問題解決力を失った日本の核家族
2023年7月号 LIFE [病める世相の心療内科(78)]
世界を見渡せば、戦乱は常態化し、突如逮捕、処刑も起こりうる閉塞した日常を強いられた、おびただしい数の人々がいる。対する日本の家庭はいまだ平和で明るく、豊かそうである。しかし、先日起こった信州中野の猟銃殺人事件を聞いて、日本の多くの家庭に、じわじわと暗い影が差し始めているとの思いにとらわれざるを得なかった。日本の家庭は核家族化が進んでいるが、それは、かつての大家族集団より潜在エネルギーが少なく、問題解決力(お金で解決できないことは無限にある)も低下していることを意味している。大家族集団で成り立つ村社会では、人々の生活は必ずしも豊かではなかったが、高齢の親の介護といったレベルの問題はどうにかなっていた。さらには親に依存して生活する20代から60代までの子らが100万人を超えるという昨今の異様な状態も、生じる余地がなかった。昔の大家族やコミュニティ ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。