畑に怪しげな構造物を自前で作り始めた。農地には原則、しっかりした家のようなものは建てられない。簡単な杭を打ち込んで道具小屋を作るつもりで、木材をホームセンターで買って作業を開始した。設計図はない。もっぱら経験と勘で、買ってきた材木をほとんど加工せず、4隅に立て、梁でつなぎ、杉板の屋根を付け、4畳半ほどの空間を作ってみた。何しろ周辺は一面の麦畑や田んぼで、風を遮るものはない。小屋はたちまち傾き始め、慌てて補強を余儀なくされた。そもそも設計図がないので、補填を繰り返しても、必ずどこかに問題が起きる。例えば、やや傾いて打ち付けられた梁を伝って、想定しないところから雨水が漏れたり、材木が寸足らずで、床にできた隙間からネズミが出入りするので、収穫物をむき出しではしまえないなど。適当に木材を打ち続けているうちに、小屋は妙に巨大化しだした。四季を問わず ………