跋扈し始めた「ワニの口」論者/経済アナリスト・森永康平

ここで緊縮財政・金融引き締めを行ったら、日本経済は破綻への道を歩むことになる。

2023年4月号 BUSINESS

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日経新聞の人気が高い学術コラム『経済教室』(2月8日)に「財政政策と国債増発の行方 破綻回避の期限は2036年」という記事が掲載され、これによると日本の現状に基づいてシミュレーションを行うと「現行の財政スタンスを続けていては、財政ばかりでなくマクロ経済も持続可能ではない。経済破綻を避けるには36年をタイムリミットとして、それまでには健全財政への転換が必要との政策的含意が引き出せる」と宣う。この手の論考は昔から多く、巨額の財政赤字が原因で「日本は20XX年に財政破綻をする」と読者の恐怖心を煽り、それを回避するためには痛みを伴う歳出削減や増税もやむを得ないという結論に導くお定まりのパターンだ。何も知らない読者からすれば、「子や孫の世代にツケを残してはならない」と、従順に増税を受け入れることになろう。無責任なもので、いつまで経っても財政破綻は起こっていな ………

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